○神石高原町議会基本条例
平成24年9月21日
条例第15号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 議会、委員会並びに議長及び議員の活動原則(第5条―第8条)
第3章 町民と議会の関係(第9条―第11条)
第4章 議会と町長との関係(第12条―第16条)
第5章 自由討議の拡大(第17条)
第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第18条―第22条)
第7章 議員定数、報酬及び政治倫理(第23条―第25条)
第8章 災害時の対応(第26条)
第9章 補則(第27条・第28条)
附則
日本国憲法の規定に基づく地方自治制度の二元代表制の下、神石高原町民から選挙で選出された議員により構成される神石高原町議会は、同じく町民から選挙で選ばれた神石高原町長と共に、神石高原町の代表機関を構成する。
この二つの代表機関は、共に町民の信託を受けて活動し、議会は多人数による合議機関として、また、町長は独任制の機関として、それぞれの異なる特性を生かして、町民の意思を町政に的確に反映させるために切磋琢磨して重要な意思決定をし、議決責任を持つ役割を担っている。
地方分権時代を迎え、ますます行政需要が増大し、地方公共団体の自己決定及び自己責任の範囲が拡大されてきていることから、本町でも、自立的な自治を支えるための行財政基盤を更に強化するとともに、地方が抱える諸課題に対して、より的確に対応することが必要となってきており、議会の役割はますます重要となっている。
このような状況の中で、議会は、効率的で分かりやすい運営を行い、町民の意思を反映した「開かれた議会」を目指すとともに、その果たすべき責務を明らかにし、監視機能、調査機能、政策形成機能等を更に強化していかなければならない。
そのために、議会そして議員が従来の活動にとどまることなく自己の資質向上を図りながら議会改革を推し進め、公正で透明な開かれた議会を構築するため、議会運営の基本事項を定め、議会の役割と活動の指針を明確にするためこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会及び議員の活動の活性化と充実のために必要な議会運営の基本事項及び議会の基本理念を定めることにより、議会が開かれた議事機関としての役割を果たすとともに、町民の福祉の向上と持続的な豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
(最高規範としての位置付け)
第2条 この条例は、議会運営における最高規範的位置付けを有し、議会は、この条例に違反する議会の条例、規則、規程等を制定してはならない。
(議会及び議員の責務)
第3条 議会及び議員は、この条例に定める条例、規則、規程等を遵守して議会を運営し、町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。
(定例会の回数等)
第4条 定例会の回数は、神石高原町議会定例会条例(平成16年神石高原町条例第5号)の定めるところによる。
2 議会の会期及び運営等については、神石高原町議会会議規則(平成16年神石高原町議会規則第1号。以下「会議規則」という。)の定めるところによる。
第2章 議会、委員会並びに議長及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第5条 議会は、次に掲げる事項を原則として活動を行わなければならない。
(1) 議会が町民を代表する議事機関であることを常に自覚し、公平性及び信頼性を重んじ、町民に開かれた議会を目指して活動すること。
(2) 議会は、議会が議員、町長、町民等の自由な討論の場であるとの認識に立って、その実現のためにこの条例に規定するもののほか、この条例を踏まえて、会議規則の内容を継続的に見直すものとする。
(3) 議長は、神石高原町議会傍聴規則(平成16年神石高原町議会規則第2号)に定める傍聴に関し、傍聴の意欲を高める議会運営に努めるものとする。
(4) 議会は、会議を定刻に開催するものとし、会議を休憩する場合、議長はその理由及び再会の時刻を傍聴者に説明するよう努める。
(委員会の活動原則)
第6条 神石高原町議会委員会条例(平成16年神石高原町条例第208号)に規定する常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)での審査に当たっては、委員会の委員は、町民に対し、分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。
2 委員長は、委員会の秩序保持に努め、効率的な議事の整理を行い、委員会の事務をつかさどるものとする。
(議長及び議員の活動原則)
第7条 議長及び議員は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
(1) 議長は、議会を代表し、民主的かつ公平な立場において職務を行い、効率的な議会運営を行うものとする。
(2) 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議の推進を重んじなければならない。
(3) 議員は、町政の課題全般について、課題別及び地域別等の町民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんによって、町民の代表としてふさわしい活動をするものとする。
(4) 議員は、議会の構成員として、個別的な事案の解決だけでなく、町民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならない。
(議決責任等)
第8条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、自治体としての意思決定又は施策決定をしたときは、町民に対して説明する責務を有するものとする。
2 議会は、議会運営に関し、町民に対して説明する責務を有するものとする。
第3章 町民と議会の関係
(町民参加及び町民との連携)
第9条 議会は、議会の活動に関する情報公開を徹底するとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、委員会の運営に当たっては参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、町民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるものとする。
3 議会は、町民、町民団体、NPO法人(特定非営利活動法人)等との意見交換の場を設け、議会及び議員の政策能力を高めるものとする。
4 議会は、重要な議案に対する各議員の態度を議会広報に公表するなど、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。
5 議会は、町民に対する議会報告会等を必要に応じて開催し、議会の説明責任を果たすとともに、これらの事項に関して町民の意見を聴取して議会運営に反映するものとする。
(会議等の公開)
第10条 議会は、本会議及び委員会(以下「会議等」という。)を原則として公開するとともに、町民が傍聴しやすい環境整備に努めるものとする。
(請願及び陳情等)
第11条 議長は、請願書又はこれらに類する陳情書等(以下「請願等」という。)は、町民からの政策提言と位置付け、議会運営委員会に諮って審議の必要又は不必要を決定するものとする。
2 議長は、議会運営委員会において審議が必要と認めた請願等については原則として所管常任委員会又は議会運営委員会に付託するものとする。
3 付託を受けた常任委員会又は議会運営委員会は、請願等の審議にあたって必要がある場合は、提出者からの意見聴取、現地調査等を行うものとする。
第4章 議会と町長との関係
(町長等との関係の基本原則)
第12条 議会は、二元代表制の下、議事機関としての立場及び機能を生かし、町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)との緊張関係を保ちながら、議事機関としての役割を果たしていくものとする。
(町長等と議会及び議員との関係)
第13条 議会の本会議における議員と町長等との質疑応答は、広く町政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答方式で行うものとする。
2 一般質問は、事前に、その内容を議長に通告するものとし、議員は通告した内容に基づいて原則として原稿を作成するものとする。
3 議長は、議事の円滑な進行のため、町長等に対し通告された質問及び質疑に対する町長等の答弁の趣意について、事前に提出を求めることができるものとする。
4 町長等は、議員の質問及び質疑に対する説明をより的確に行うため、議長の許可を得て質問及び質疑の趣旨を確認するための発言をすることができる。
5 議員は、町長等の指揮下にある審議会等附属機関への委員としての参加は、原則として控えるものとする。
(町長等による政策等の形成過程の説明)
第14条 町長等は、議会に計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)を提案するときは、政策等の水準を高めるため、次に掲げる政策等の決定過程を説明するよう努めなければならない。
(1) 政策のきっかけ又は背景
(2) 提案に至る経緯、検討した他の政策案等の内容
(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 総合計画における根拠又は位置付け及び整合性
(5) 関係ある法令及び条例等
(6) 政策等の実施に関わる財源措置
(7) 将来にわたる政策等のコスト計算
2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、それらの政策等の水準を高める観点から、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
3 議会は、町長等が町政における重要な計画等を決定し、変更する場合、会議規則第119条の規定による全員協議会で政策等の形成過程について説明を求めるものとする。
(予算及び決算における政策説明資料の作成)
第15条 町長は、予算及び決算を議会に提出し、議会の審議に付するに当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の政策説明資料を作成するよう努めるものとする。
(地方自治法第96条第2項の議決事項)
第16条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定による議会の議決事項については、代表機関である議会が、町政における重要な計画等の決定に参画する観点と同じく代表機関である町長の政策執行上の必要性を比較考量の上、次のとおり定めるものとする。
(1) 基本構想及び総合計画
(2) 町政の各施策分野における計画等であって、特に重要な計画等
第5章 自由討議の拡大
(自由討議による合意形成)
第17条 議会は、議員による討論の場であることを十分に認識し、議長は、町長等に対する会議等への出席要請を必要最小限にとどめ、議員相互間の討議を中心に運営しなければならない。
2 議会は、本会議、常任委員会、特別委員会等において、議員提出議案、町長提出議案及び請願、陳情等、町民提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の自由討議による議論を通して合意形成に努めるとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
3 議員は、前2項による議員相互間の自由討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。
第6章 議会及び議会事務局の体制整備
(委員会等の適切な運営)
第18条 議会は、社会、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、常任委員会、特別委員会等の適切な設置及び運営により機動力を高めなければならない。
(議員研修の充実強化)
第19条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、町民各層等との研修会を開催するものとする。
3 議会は、分権時代にふさわしい議会の在り方について調査研究を行うものとする。
4 議員は、研修を行ったときは、研修報告を議長に提出するものとする。
(議員の派遣)
第20条 議会は、議案の審査又は町政に関する課題若しくは町が推進するべき事務の調査研究に必要があると認めるときは、議員を派遣することができる。
2 前項の規定により派遣を行う基準は、別に定める。
(議会広報の充実)
第21条 議会は、町政に関わる重要な情報を、議会独自の視点から、常に町民に対して周知するよう努めるものとする。
2 議会は、委員会を設置し、議会広報誌を編集発行し、町民に広く町政を周知する。
3 前項の議会広報誌の発行回数は、定例会開催に合わせ年4回とし、発行日は、定例会開催月の翌月の15日とする。
4 議会は、ケーブルテレビによる議会中継を実施するほか、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会及び町政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
(議会事務局の体制整備)
第22条 議会は、議会及び議員の政策形成及び政策立案機能を高めるため、議会事務局の調査及び法務機能を積極的に強化するよう努めるものとする。
第7章 議員定数、報酬及び政治倫理
(議員定数)
第23条 議員定数は、神石高原町議会の議員の定数を定める条例(平成19年神石高原町条例第50号。以下「議員定数条例」という。)の定めるところによる。
2 議員定数の変更に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題及び将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。
3 法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合を除き、議員が議員定数条例の改正を提案する場合は、明確な改正理由を付して、議会に提案するものとする。
(議員報酬)
第24条 議員報酬は、神石高原町議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(平成16年神石高原町条例第213号)の定めるところによる。
2 議員報酬の改定に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題及び将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分活用するものとする。
(議員の政治倫理)
第25条 議員は、町民全体の代表者として法令の遵守はもとより倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
2 議員の政治倫理については、別に定める。
第8章 災害時の対応
(災害時の対応)
第26条 議会は、いつ、いかなる時も、不測の災害が起こりうることを認識し、災害の危機を可能な限り避けるべく不断の用意に努めるとともに、災害発生時においても議会がその機能を停止することなく、的確な機能を維持できるよう危機管理体制及び業務継続体制の整備、充実強化に努めるものとする。
2 大規模災害等の不測の事態から町民の生命、身体及び財産並びに生活の平穏を守るために、町長等と協力し、迅速な災害対応に努めるとともに、平常時から防災・減災対策に努め、「災害に強いまちづくり」を推進すること。
3 議会及び議員の災害時の対応について必要な事項は別に定める。
第9章 補則
(適用範囲)
第27条 この条例は、議会及び議員がその職務を行い、又はその権限に基づき活動する場合に適用する。
(条例の見直し手続)
第28条 議会は、この条例の目的が達成されているかどうかを不断に検証するとともに、適切な措置を講じるものとする。
2 議会は、この条例を改正する場合は、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附則
この条例は、平成24年10月1日から施行する。
附則(令和2年9月23日条例第33号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和4年9月27日条例第19号)
この条例は、公布の日から施行する。